業界別スマートグラス活用まとめ

スマートグラスはどの業界で活用されている?
業界別導入事例と活用方法まとめ

スマートグラス概要

各業界でスマートグラス活用が広がっている理由

近年、製造業や建設業、保全・メンテナンス業など様々な現場で産業用スマートグラスの活用が広がっています。
人材不足や技術継承、コスト削減、作業効率化といった課題を背景に、現場DXを推進する企業が増えているためです。
従来は、現地に行かなければできなかった確認や指導も、コロナ禍以降、遠隔から支援できる環境が整いつつあります。これにより、移動時間の削減や教育コストの低減が期待されています。
本記事では、スマートグラスがどの業界でどのように活用されているのか、業界別の活用例をわかりやすく紹介します。

業界別スマートグラス活用例

特に導入が進んでいる業界でスマートグラスをどのように活用しているのか実際の導入した企業の事例から活用方法を紹介します。

●製造業での活用例

製造業では、人材不足や熟練技術者の高齢化により、技術継承や教育負担が大きな課題になっています。
スマートグラスを活用すると、作業をしながら作業手順書やマニュアルを目元のディスプレイで確認できるため、確認ミスや作業ばらつきを防止できます。 また、ビデオ通話による遠隔支援で、本社や別拠点の技術者がリアルタイムで現場をサポート、またクリーンルームなど立ち入りが制限された環境下においても最小の人数で情報共有と現場サポートすることが可能です。
具体的には以下のように活用されています。
・組立作業時の手順確認
・設備トラブル時の遠隔サポート
・品質検査のチェックリスト表示
・新人教育での作業共有と技術指導の遠隔化
これにより、教育コスト削減や作業品質の標準化、トラブル時の対応スピード向上が期待できます。
製造業におけるスマートグラス活用例
製造業での活用

●建設・土木・測量業での活用例

建設・土木・測量業では、現場の人手不足や安全管理、情報共有の遅れが課題になっています。
スマートグラスを活用すると、作業指示や手順などを確認しながら現場の状況をリアルタイムで作業履歴として共有することが可能です。 遠隔地の管理者と映像共有しながら指示を受ける「遠隔臨場」「安全パトロール」にも活用されています。
また安全性を確保できない環境の状況を情報共有する場合などに活用されています。(測量業で山間部の土地所有者の立会いなど)
具体的には以下のように活用されています。
・作業手順の確認
・遠隔臨場による現場確認
・施工記録の写真・動画映像保存
・安全確認や指示共有(安全パトロールや現場立会い)
これにより、移動時間の削減や迅速な情報共有と意思決定、安全性向上が期待できます。
建設・土木・測量でのスマートグラス導入事例
建設業での活用

●保全・点検・メンテナンスでの活用例

保全・点検・メンテナンス業務では、作業の属人化や記録管理、緊急時対応が課題です。
スマートグラスを活用すれば、点検項目やマニュアルを確認しながらハンズフリーで作業でき、作業記録のデジタル化も容易になります。 遠隔支援により専門技術者がリアルタイムで遠隔地から現場サポートや作業指示を出すことも可能です。
具体的には以下のように活用されています。
・点検リストを確認しながら作業
・設備状況の写真・動画記録
・トラブル時に遠隔からサポート
・作業履歴のデジタル管理
これにより、点検品質の安定化や漏れ防止、対応時間短縮、移動コスト削減、未熟練者の現場サポートが期待できます。
保全・メンテナンス業のためのスマートグラス活用
保全・点検・メンテナンスでの活用

●農業・畜産業での活用例

農業・畜産業では、経験依存の作業が多く、新規就農者への教育や作業標準化が課題となっています。
スマートグラスを活用すると、遠隔で営農指導を受けることができ経験が浅い作業者でも安心して作業を進められます。 また畜産業では衛生面により現場への立ち入りを制限している環境下でも最小の人数で各方面に情報共有が可能となります。
具体的には以下のように活用されています。
・農作業マニュアルの表示
・栽培・飼育管理の映像記録
・遠隔地からの営農指導によるサポート
・立ち入り制限環境下のリアルタイム情報共有
これにより、移動コストの削減、教育時間短縮や作業品質の均一化、衛生面の確保が期待できます。
農業・畜産分野のスマートグラス活用
農業・畜産業での活用

スマートグラス導入でよくある課題

スマートグラスは多くの現場で活用が進んでいますが、導入時にはいくつかの課題もあります。事前に把握しておくことで、スムーズな導入につながります。

■現場に定着しない

新しい機器やサービスは現場からは抵抗により活用が進まないケースが多くあります。
事前に現場とのすり合わせを行い活用による効果を現場に理解してもらい活用促進することで現場に定着していきます。

■通信環境の影響を受ける

遠隔支援やクラウド連携を行う場合に通信が不安定だと十分な効果を発揮できません。
工場や屋外現場では電波状況にばらつきがあるため、利用環境の通信について事前確認が重要です。

■導入目的が曖昧

「とりあえず導入してみる」というケースでは、活用シーンが定まらず、効果が見えにくくなります。
どの業務をどういった課題がありどのように改善したいのかを明確にすることで導入目的が明確になります。

■セキュリティ・情報管理の確認

通信機能を使うため、情報管理やセキュリティの観点から通信環境に制限を行っている企業もあります。
事前に利用する通信環境のセキュリティ状況を自社の情報システム担当者に確認を行うことが重要です。

スマートグラス導入を成功させるポイント

●利用目的を明確にする

どういった業務で活用するのかを明確にすることで、適切な機種選定とコスト最適化につながります。
自社の業務でどのような課題がありどのように改善したいかを明確にすると利用目的が明確になります。

●現場環境に合ったデバイス選定

屋外作業や粉じん環境など、現場条件によって必要な耐久性や装着性が異なります。
現場で定着させるに、現場に合った運用のしやすさや、操作性、サポート体制など実運用を想定した選定が重要です。

●通信環境の確認

遠隔支援やクラウド利用には安定した通信が不可欠です。Wi-Fi環境やモバイル通信状況を事前に確認しておきましょう。
自社のセキュリティによりサービスが使用できるのかも情報システム担当者に確認が必要です。

●小規模導入から始める

最初から希望するすべての活用方法を網羅した導入を目指すのではなく、業務の一部で導入を行い、効果を確認しながら徐々に展開する方法が成功のポイントです。

スマートグラス導入を検討中の方へ

●失敗しない選び方

スマートグラスは機器やサービスによって特徴や得意分野が異なります。 例えば、遠隔支援の機能に特化した機能を実装したモデル、単純に記録を残すだけのモデル、防塵防水などタフな現場に耐えられるモデルなどそれぞれ特性があります。
価格やスペックだけでなく、「自社の現場に適しているか」という観点で選ぶことが失敗を防ぐポイントです。

●現場実証の重要性

カタログ上では適しているように見えても、実際の現場では使い勝手が異なる場合があります。
そのため企業によっては本格導入前にスモールスタートで現場での検証を実施しています。
実際の業務で試すことで、現場との相性、運用上の課題、期待できる効果を具体的に確認できます。

●デモ体験のすすめ

スマートグラスは人に装着して使用するため実際に装着してみないと分からない点が多い機器です。
操作性や装着感、画面の見え方などは、体験することで初めて判断できます。
そのため、導入を検討する際はデモ体験やトライアルを活用することをおすすめします。
まず製品のスペックや機能の情報を確認して自社での活用に適しているか検討し、活用できそうであればデモ体験により実際の活用イメージに合っているか判断していきます。
実機による装着や操作性を確認することで、導入後のイメージも明確になります。

スマートグラスは、現場の課題解決や業務効率化を支援する有効なツールです。
まずは自社の業務にどのように活用できるか、情報収集や試験導入から検討してみてはいかがでしょうか。 スマートグラスは課題解決の有効ツール

【著者紹介】
西内 伸太郎(フィールドクロス株式会社/チーフデザイナー)
プロダクト、UI/UX、WEB、グラフィックと多岐にわたるデザイン分野に携わる。近年はウェアラブル業界に軸足を移し、産業用スマートグラス製品の開発や導入支援プロジェクトに関与。 現場業務での活用を前提としたデザイン設計やユーザー視点に基づく提案を強みとし、スマートグラスの実用的な活用促進に取り組んでいる。