現場のDX化を推進するには

現場のDX化をスムーズに推進するためには?

社内や現場のDX(デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation))化を推進するためには様々な技術や方法がありますが、実際に導入して運用するまでにはいくつもの障壁があります。
本記事では現場のDXを推進する際に起こりがちなつまづきや導入の障壁になる内容などDX化が進まない要素と解決方法を紹介します。
また弊社スマートグラス製品を活用したDX推進について導入から運用までの流れ、導入時の障壁と解決方法などを例として紹介いたしますので社内や現場のDX化がなかなか進まない場合に参考としてご覧ください。

DXデジタルトランスフォーメーション

DX化を推進をするには?

本章ではDX化を進めていくことで起きるつまづき、事前確認、DX化するための技術例を紹介します。
自社のDX化を進める中で起きている課題などに対応するための参考にしてください。

●DX化を進めるための事前確認

DX化を進めるための技術やシステムを導入するまでには導入前に行うことがあります。
事前やるべきことをステップごとにまとめました。
課題洗い出し 自社が抱えている現場作業で起きている課題、業務上の問題、非効率な作業などを明確にすることが重要です。
実際の作業内容を可視化して時間やコストがかかっている作業や、人手に不足している部分、情報共有が円滑にできていない部分などを具体的に整理することで、DX化によって解決すべき課題が明確になります。
意見収集 DX化は全社的な取り組みとなるため、部署ごとに異なる業務内容やニーズを把握しておく必要があります。
現場担当者や管理部門から意見を集めることで、実際の業務に即したシステム導入が可能になり、現場の協力も得やすくなります。また意見収集をすることで気づかなかった課題を見つけることにもつながります。
調査選定 導入を検討する段階では、自社の課題に適した技術やシステムを幅広く調査することが必要です。
自社の課題解決に当てはまりそうな技術やシステムなどの比較検討を行い、費用対効果や将来的な拡張性などを確認します。また、導入後の運用サポートなども重要な判断材料となります。
導入手続き ITツールやシステムの導入には社内での合意形成が不可欠です。
経営層や管理部門に対して、DX化によって得られる効果や投資対効果を明確に示し、必要に応じて稟議を通す必要があります。また、現場に対しても目的やメリットを分かりやすく説明し、抵抗感を和らげることが成功につながります。


●現場や社内でDXを推進するときにつまづくこと

新しい技術や運用を行う際に推進を行う部署と実際に活用をする現場で温度差が生じて導入が進まないケースが多くあります。
それぞれの立場からの意見をまとめ運用を行うまでに解決すべき課題出しを行うことが重要となります。
例としてDX推進をしていくことで期待されるポジティブな意見、反対にDX推進に後ろ向きなネガティブな意見をまとめました。
ポジティブな意見 コスト削減 問題解決の迅速化 人材不足の解消 安全性の向上
作業品質の向上 作業の標準化 作業ミスの削減 作業進捗の可視化
OJTの効率化 教育負担の軽減 技術伝承の円滑化 教育内容の標準化
ネガティブな意見 作業内容を変更したくない 管理するものを増やしたくない
新しいことを覚えたくない 使用ツールを増やしたくない
DXの取り組みを進める際には、変化を好まない立場と、新しい挑戦を求める立場で意見が分かれることが少なくありません。
その結果、議論が長引き、プロジェクトが前に進まずに時間だけが過ぎてしまうケースも見られます。 もちろんリスクを十分に検討することは重要ですが、すべてを解消してから動こうとすると、現状の課題をいつまでも解決できないままになります。
DX推進には、一定のリスクを受け入れつつ、思い切って一歩を踏み出すことが必要です。

スマートグラスを活用したDX推進

ここからはスマートグラスを活用したDX推進として導入から運用までの流れを紹介します。 導入までの具体的な障壁、解決策や運用後の流れまで紹介します。例としてスマートグラスを挙げておりますが他の技術でDX化を推進する際にも同じような事案が発生するかと思いますので新しい技術やシステムなど導入を円滑に行うために参考にしてください。 スマートグラス活用DX推進

●導入までの流れ

スマートグラスを導入し、効率化を図る運用を行うためには以下のようなステップで導入から運用を進めていくとよいでしょう。
①自社課題の解決にマッチしているか確認
自社課題の洗い出しを行い課題解決のツールとしてスマートグラスがマッチしているのか確認します。
例えばスマートグラスを使用する最大のメリットとしてあげられるハンズフリーであるべきなのか?
遠隔支援を行うための環境はできているのか?など課題解決を行るのか確認します。
②DX推進の本質と照らし合わせ総合的な判断
新しいことを始める場合にはネガティブな意見が多く出てしまいます。
ネガティブな意見だけで判断してしまうと導入を見送る確率が高くなり会社のDX推進が遅れてしまいます。
ネガティブな意見があっても導入によるメリットや作業の効率化が見込めるなどを比較しながら総合的に判断します。
③導入前の現場検証
実際の現場環境でスマートグラスを使用して動作検証を行います。
自社セキュリティにより使用できない環境の場合がありますので情報システム部門と連携して動作検証を行う必要があります。
④導入して運用開始
導入後は当初想定していた活用方法をまずは安定的に運用できるようにしていきます。
運用が安定してくると別の活用方法などを模索してさらなるDX推進を行っていくことで導入効果が上がっていきます。
⑤運用結果の分析と改善
半年や1年ごとに運用結果を集計して想定していた効率化ができているか、どのくらいの効果が出ているかを算出します。
運用結果から改善点の洗い出しを行い運用面の対応を行います。メーカーに相談と助言により効果を高めることもあります。
運用結果の集計と改善を繰り返すことでDX推進の効果を向上していくことでDX化の成功に結び付きます。

●導入前の選定と現場検証

スマートグラスはウェアラブルデバイス(装着するもの)のため現場からは導入障壁となる様々な意見が出てくることがあります。
DXを推進する上で現場の意見を無視することはできませんが現場の意見だけで判断することが最良という訳ではありません。
現場からの意見と得られる改善やメリットなど総合的に判断していくことが重要となります。
現場から出てくるスマートグラスの導入障壁になりそうな代表的な意見
装着していると疲れそう メガネやヘルメットなど他の装着物との併用ができるのか
操作方法を覚える手間が面倒 視界の邪魔になりそう
上記のように現場からは導入障壁となる意見が出てきます。
検証前の選定時にある程度現場の意見に対応できそうなデバイスやシステムを確認することが必要です。
例えば上記ような意見に対応するためには以下のようなスマートグラスを選定すると解決できそうです。
装着していると疲れそう ⇒ 頭部へ装着が軽量なデバイスにする
メガネやヘルメットなど他の装着物との併用ができるのか ⇒ 他の装着物と併用可能なデバイスにする
操作方法を覚える手間が面倒 ⇒ 電源を入れるだけで簡単に使用できるシステムにする
視界の邪魔になりそう ⇒ 視界からすぐに外せる片眼タイプにする

●導入の判断材料となる効果

スマートグラスを導入して現場を効率化することにより社内の様々な課題を解決していくことができます。
スマートグラス導入する前の課題と導入後に期待される効果を例として紹介します。
導入前の課題 導入後に期待する効果
現場までの距離が遠く移動コストや時間がかかっている 遠隔で作業支援を行うことにより現場にいなくても遠隔地から現場をサポートすることができる
作業の手を止めて紙の資料やマニュアルを確認している 音声操作によりハンズフリーで作業をしながら作業手順やマニュアルを確認できる
現場の作業進捗や状況などの確認を電話で行っている 作業進捗をリアルタイムで確認でき作業証跡として映像記録を残すことができる
現場で問題あったときや支援が必要な場合に解決までに時間がかかっている 現場のリアルタイム映像を確認しながら遠隔から指示や支援を行うことで迅速に問題を解決できる
以上のような期待される効果と現場の意見を総合的に判断して導入検討を行うことが重要です。

スマートグラスの仕組みや活用方法、導入時のポイントにつきましてはこちらの記事を参考にしてください。 スマートグラス とは(仕組み、活用方法、導入時のポイント)

DX化を推進するためのまとめ

  • 導入前:事前準備として現状の課題出しと解決できる技術の調査を行い実際の運用に基づく試験運用を行います。
  • 導入時:導入障壁と導入効果を総合的に判断して技術やシステムを導入します。
  • 導入後:技術やシステムの導入後には運用結果の算出と改善を繰り返し行いDX化の効果を高めていきます。
DX化を推進するためのまとめ
【著者紹介】
西内 伸太郎(フィールドクロス株式会社/チーフデザイナー)
プロダクト、UI/UX、WEB、グラフィックと多岐にわたるデザイン分野に携わる。近年はウェアラブル業界に軸足を移し、スマートグラス製品の開発においてデザイン面を中心に深く関与。業界の動向やユーザー視点に基づいた知見をもとに、顧客への導入支援や活用提案に注力している。